MLSの成り立ち

ドラマメソッド®の確立から
MLSの誕生まで

リチャード・ヴァイア氏とドラマメソッド®

MLSの最高顧問をお願いしていたRichard A. Via(リチャード・A. ヴァイア)氏は、その昔23年間にわたり、アメリカ・ブロードウェイで俳優・演出家・舞台監督として活躍してこられました。
そのVia氏が初めて来日したのは1967年。アメリカ文化センターの招へいによりブロードウェイ・ミュージカル”Hello Dolly!” の日本公演の際に舞台監督兼責任者としてのことでした。

上演後の「アメリカの演劇」というテーマの講演会の後、日本の大学生が「自分たちの大学でも英語で劇を上演するので、アドバイスを欲しい」と彼のもとにやって来ました。日本の大学生の演技を見たヴァイア氏は、「本当のコミュニケーションからはほど遠く、他の人になろうとする演技スタイル」に驚きました。そして、当時アメリカでは常識となりつつあった「本当のコミュニケーションがはかれ、自分を活かすことのできる演技スタイル」を指導しようと思いたち、日本にとどまる決意を固め、フルブライト奨学生としてアメリカのプロの演技方法を紹介しながら3年間滞日しました。

滞日中、日本の大学生たちに劇を指導することになりましたが、その時にヴァイア氏は、英語で劇の演出を受け、セリフや演技を練習することが、結果として学生たちの英会話力の著しい向上にもつながることを発見しました。ドラマを通して英会話を学ぶ、English Through Drama=E.T.D. Method、「ドラマメソッド®」誕生の瞬間です。

Model Production (M.P.)

「ドラマメソッド®」を見いだしたヴァイア氏は、東京の大学のESSのメンバーを集め、東京学生英語劇連盟を組織しました。そして、学生たちが学校の枠を超えて協力しあい、リハーサルから一つの劇を作りあげるまで、キャストもスタッフもすべて英語で会話する方式をとりました。このグループが、他の英語劇グループの規範(Model)となるよう、Model Production(略称:M.P.)と名づけられました。

ヴァイア氏が種を植えたM.P.は、その後40年以上にわたって引き継がれ、現在も活動を続けています。歴代のO.B.・O.G.の中には、NHKラジオ英会話講座の人気講師で、俳優としても活躍している遠山 顕氏や、俳優の中村 雅俊氏、別所 哲也氏、今井 雅之氏、川平 慈英氏、藤田 朋子さん、舞台美術家の島川 とおる氏など、各界で活躍されている方々がたくさんいらっしゃいます。

奈良橋陽子と太田雅一

そんなM.P.で、現在MLS会長の奈良橋 陽子と、MLS社長の太田 雅一が出会いました。1973年のM.P.の公演をするまでの活動を通してでした。M.P. ’67にキャストとして参加していた奈良橋は、この年演出家として、またM.P. ’72に出演していた太田は、演出助手として参加していました。

意気投合した奈良橋と太田は、ヴァイア氏の「ドラマメソッド®」の素晴らしさをより多くの人に広めるべく、英会話教室を設立することにしました。

MLS誕生​

1974年1月、MLSは産声をあげました。正式名称のModel Language Studioの “Model” は、奈良橋と太田が出会ったM.P.(Model Production)から取り、”Language” には「英会話だけではなく、行く行くは他の言語も『ドラマメソッド®』で教えられるように」との願いが込められています。そして “Studio” は、現代演劇界をリードし続ける俳優の訓練所であり、研究機関でもあるニューヨークのアクターズスタジオ(Actors Studio)に一歩でも近づき、「ドラマメソッド®」の世界のリーダーたれとの願いが込められています。

MLSの各教室は、「クラスルーム」ではなく「スタジオ」と呼ばれます。これも、アクターズスタジオにあやかって、生徒一人ひとりの「修練の場・Trial and errorの場」であってほしいという願いの表れです。

会長 奈良橋 陽子​

MLS会長
奈良橋 陽子
プロフィールページ

MLSの創始者の一人である奈良橋 陽子は、5歳のときから高校卒業までをカナダで過ごしました。帰国後、ICU(国際基督教大学)にて言語学を専攻、卒業後はニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで演劇を学びました。 MLS会長の他にもいくつもの顔を持っており、まず英会話教育の専門家としては、ラジオ英会話講座「百万人の英語(後にEnglish Expressと改称)」の講師を長年務めたり、高校の英会話の教科書(桐原書店)や子供向けのパック教材「1, 2, Jump」「HAPPY TALK」などの執筆をしたりもしています。また、セサミストリート・ホームビデオの日本語版を監修したり、ビデオ英単語辞典「アクショナリー!(Actionary:後にCD‐ROM化)」など、多くの教材を世に出してきました。

 また作詞家として、ロックグルーブ「ゴダイゴ」の「ガンダーラ」や「モンキーマジック」「ビューティフル・ネーム」などの一連のヒット曲をはじめ、多くの歌手へ英語の歌詞を提供しています。
演出家としては、「ヘアー」「アルジャーノンに花束を」「ムーンリットクラブ」など数多くの舞台を手がけており、演出した舞台「The Winds Of God」は平成三年度文化庁芸術祭賞を受賞、同作品のニューヨーク公演で国連芸術賞を受賞しました。また、この作品は奈良橋自身の監督で映画化され、第四回ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭審査員特別賞を受賞、1995年松竹系で公開されました。またハリウッド映画のキャスティング(配役)も数多く務めており、トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」やロブ・マーシャル監督作品「SAYURI」などの作品を手がけています。

 新しい才能の発堀・育成にも力を注いでおり、国際舞台で活躍できる俳優を育てるべく、1982年にUPS(United Performers’ Studio=あっぷす)を設立、自ら社長を務めています。

社長 太田 雅一​

MLS社長
太田 雅一

もう一人の創始者である太田 雅一は、一般の日本の教育制度の中で中学校から英会話を学び始め、大学時代にヴァイア氏のドラマメソッド®で英会話に開眼しました。MLSを創立してからは、組織体として存続するように尽力する傍ら、ドラマメソッド®のさらなる改善をはかっています。また「英会話とドラマ」をテーマに世界との交流にも力を入れ、主要な英語圏(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)の教育目的の劇団と活発な交流を持っています。

MLSの生徒による英語劇の海外公演を実現させたり、海外の劇団を日本へ招いて各地の学校などで巡回公演を実施したりしています。また海外のプロの俳優とMLSの生徒が共同して一つの劇を創り上げ、同じ舞台に立つ「インターナショナル・プロダクション」の演出・プロデュースなども手がけています。
ドラマメソッド®の改良・開発に関しては、MLS草創期に書いたドラマメソッド®の特長を生かした脚本 “Stories for you and me”(作曲:タケカワユキヒデ氏)で、関東教職員研究会研究発表作品に優秀賞として研究材料に選定されたり、高等学校英語教育研究会プレイコンテストで何度も上位入賞を果たすなど、高い評価を得ています。また最近書き下ろした「MLS英語劇脚本セット」(東京都中小企業創造的事業活動認定 #1118号)所蔵の作品で、東京都英語学芸大会などの各種英語劇大会で優勝及び準優勝を数多く果たしています。

副社長 クローディア・O・ペレッティ

MLS副社長
Claudia O. Peretti

スイス・モントルー出身。スペイン・マドリッドのスペイン大学で言語学を専攻し、フランス語、英語、スペイン語、日本語、ドイツ語、イタリア語を話すマルチリンガル。

大学卒業後 1974年に来日し、草創期よりMLSに参加しました。ドラマメソッド®を幼児にまで広げるべく、MLSにジュニアクラスを設立。以来ずっとコミュニケーションを重視した英会話教育に携わり、文部科学省企画の指導主事候補教員の研修会や各地の教育委員会主催の研修会など、公的な教育機関の要請を受けて小・中・高校の英語科教諭の指導にもあたっています。

また異文化トレーナーとしても、MBI(マッキンゼイジャパン主催)や株式会社西友、ナショナルセミコンダクター・ジャパンなど数多くの企業や講演会で活躍しています。

家庭に帰れば三児の母でもあり、家では日本語・英語・フランス語の三カ国語で子供を育てています。クローディアの経歴や活動について、くわしくはこちらをご覧ください。

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